その8

サーフェイサー基礎知識

Part3


3:傷やヒケを埋め立てるための
サーフェイサー


上:パーツを切り出す前に、ヒケている部分に
ビン入りの溶きパテを塗ってしまう。


前ページで書いたように、いちいちサフを吹き付けると
いうのは、エアブラシを使うにしても面倒ですし、缶ス
プレー式のサフなど使おうものなら、お金がいくらあっ
ても足りません。そこで渋川が取り入れているのは、キ
ットのランナーを箱から出した時点で、すべてのパーツ
をくまなくチェックして、ヒケがあるすべての部分に、
ビン入りのサフを塗ってしまうという方法なのです。
  



左:Mr.サーフェイサー500スプレー 100ミリリットル入り400円
中央:Mr.サーフェイサー500 40ミリリットル入り(参考品)
右:Mr.サーフェイサー500 40ミリリットル入り300円


上の画像が、先の解説で触れたビン入りのサフです。
中身はどれも同じ物で、左が缶スプレータイプ、右が
ビン入りタイプです。中央は、右のタイプになる前に
販売されていたビン入りタイプなのですが、私はこの
ビンの形が気に入っているため、中身を移し替えて使
っています。これらのサフはラベルにも書かれている
ように、溶きパテと言った方が適当なくらいのトロ味
を帯びて(粘度が高いということ)いて、スプレータ
イプのものをパーツに吹き付けると、表面がコンクリ
ートの地肌のようにザラザラした状態になります。
このザラ付きを活かした材質感の表現なども楽しめ
るのですが、ここではそれはさておくとして、商品
名の後ろに書かれている、500や1000といっ
た数字が、この粘度の違いを表わしていると思って
ください。数字の大きい方が、よりサラサラしてい
るということですね。つまり、大きな深い傷を埋め
るには、この500番のサフが適しており、ペーパ
ーがけで荒れた表面を滑らかにするには、1000
番で充分ということなのです。では、以下にそれぞ
れのサフの具体的な使い方を詳しく説明します。 

これはMGガンダムマーク2の前腕部のパーツです。右下の方に盛り上がっていたモールドを裏側からパテで裏打ちして、デザインナイフで削ぎ落としたところです。左から中央にかけて白っぽくなっているのは、ヒケの部分に500番のサフが塗ってあるためです。

次に、削り落としたモールドの上にも、500番サフを塗り付けてやりました。ただ乗せるのでは無く、削った部分にすり込むように塗り付けています。

最低でも24時間は放置、完全に乾燥させてから、2ミリ厚のプラ板に320番の耐水ペーパーを貼ったもので、平面が出るよう気を付けながら、パテを塗った面を磨きました。ヒケや傷があった部分に、サフが白っぽく残っているのがわかりますね。こうして、へこんでいた部分がサフ(溶きパテ)によって埋め立てられたわけです。この後、400番と600番の耐水ペーパーで、エッジを殺さないよう注意しながら、磨き上げました。

600番のペーパーがけの後、1000番のサフ(ベースホワイト)を吹き付けたものがこちらです。この画像でははっきり確認出来ませんが、非常になめらかな表面が出来上がっています。ここまでの作業が、いわゆる「下地作り」になるわけですね。何とも面倒なことこの上ない作業ではありますが、これをやったとやらないとでは、作品の仕上がりが断然違って見えるのは間違いありません。

ここまでの解説で、かなりサーフェイサーに対する
理解が深まったことと思います。とりあえず吹いて
おけば、キレイな作品が出来上がるというわけでは
ありませんでしたよね。意味と必要性を理解せず、
ただ漠然と吹き付けたところで、塗装の膜が厚くな
ってシャープさが半減し、作品の印象を悪くするだ
けなのです(お金ももったいないしね)。では最後
に、ちょっと特殊な状態でのサフの使い方を、次の
ページでチラッと解説させていただきましょう。 

BACKNEXT

TOP