その12

迷彩塗装

Part1

 ガンプラに限らず、地上で戦う兵器の模型を作るとなれば、一度は挑戦してみたいのが迷彩塗装。でも、マスキングが面倒そうだし・・・と、なんとなく敬遠している方が多いのではないでしょうか。このページでは、エアブラシと筆を使った、マスキング無しのお手軽迷彩塗装の方法をご紹介いたします。お手軽と言っても、さすがにそれなりの手間はかかりますが、陸戦兵器としての存在感を演出するには最適の塗装パターン。是非一度お試しいただきたいと思います。さらに今回は、ついでにウェザリングの方法も解説しちゃいます。

※マスキングって、何??
という方はこちらをクリック!

今回はガレージキットの塗装を例に、作業の流れをご覧いただきます。もちろん、普通のプラキットでも塗装の手順はほぼ変わないので、安心してご覧ください。
 使用キットは「BURIVARY SYSTEM」さんのイベント限定ガレージキット、1/35ヤークトパンター。実は私、渋川金次が原型製作に携わってる製品でして、可愛さもひとしお(笑)気合を入れてカッコ良く仕上げます。
 レジンキャスト製のガレージキットを塗装する場合は、とにもかくにも下地を作らなければなりません。離型剤をしっかり落してバリの処理をした後、ボークスさんから発売されている「造型村GKサーフェイサー」を吹き付けます。左の画像は、そのサフを吹き終えたパーツを仮組みした状態です。

このヤークトパンターなるロボットは、10年ほど前に発売されていたゲームアーツ製のセガサターン用ゲーム「ガングリフォン」に登場するメカでして、近未来のドイツ軍(汎ヨーロッパ連合)が使用しているという設定になっています。ゲーム中でのグラフィックも現代ドイツ軍の戦闘車輌に施されている迷彩パターンを踏襲しているため、田宮模型から発売されている1/35レオパルド2A6のキットの、箱絵や組み立て説明書が大変参考になります。

左の画像は、「ガングリフォン」のゲーム画面をパソコンに取り込んだものの1枚です。やはりゲーム中で活躍する姿を立体で再現したいところですので、迷彩パターンはなるべくゲーム中のそれに合わせるべく努力しました。迷彩塗装の場合、それぞれの色の面積と配色とパターンで仕上がりのカッコ良さが決まるので、慎重に考える必要があります。今回は設定に合わせ、緑、茶、黒の3色で迷彩塗装を行ないます。

本来は4面図等を用意して、充分に迷彩パターンを練り上げるべきところですが、今回は実際のモデルに直接、芯の柔らかい鉛筆でパターンを描き込み、試行錯誤をくり返しつつ決定するという荒技を使いました。わかり難いと思いますが、左と左下の画像は、基本色(オリーブドラブをベースに緑と黄色を混入)を塗り終えたパーツに、茶色を塗る部分のパターンを鉛筆で描き込んだところです。
 画像にはありませんが、このパターンを決定する作業はもちろん、各パーツを組み上げた状態で、全体のバランスを見つつ行なっています。

こちらの画像の方が、鉛筆の線が見やすいと思います。漫画のベタ指定のごとく、茶色で塗りつぶす部分にバツ印をつけているのがわかるでしょうか。尚、今回は茶色と黒という暗い色を塗り重ねるため、鉛筆の線を残したまま塗装を進めています。かなり乱暴な手法ですが、いつも通りの結果オーライということで(笑)

さて、いよいよ迷彩塗装の開始です。鉛筆の線をなぞるように、かなり薄めた茶色を筆で丁寧に描きます。ここでの筆ムラはまったく気にする必要がありません。

茶色のパターンが入るパーツすべてに、茶色の線を描きました。この線はエアブラシで塗りつぶす部分のガイドとなるものなので、薄めの塗料でムラが出ても問題ないわけです。

コンプレッサーのエアー吐出圧を低くおさえ、先に筆で塗ったガイドラインの内側に、茶色の塗料を吹き付けて行きます。画像のように、エアブラシのノズルをかなりパーツに近付け、じっくり丁寧にガイドラインの内側を塗って行きます。この際、ガイドラインそのものの筆ムラを、エアブラシで塗りつぶして修正して行くわけです。

上記の手順で、茶色の部分を塗り終えました。パッと見た感じがかなり明るく、ちょっとオモチャっぽい雰囲気があるかと思いますが、後の作業で全体のトーンが落ちることになるため、基本色の緑も、この茶色も、あえて明るめの配色にしてあります。

次は、黒(実際は青みがかった暗いグレー)い部分の塗装です。画像にはありませんが、やはりまず鉛筆でパターンを描き、薄めた塗料でガイドラインを筆塗りしています。

当然ながら、他のパーツもすべて同時進行。塗り残した場所の無いよう、慎重にチェックしながら作業を進めます。

茶色と同様に、ガイドラインの内側を慎重に塗り潰せば、迷彩塗装は完了です。どうです? 想像以上に簡単だったでしょ? ある程度エアブラシに慣れていないと、ガイドラインの内側を塗り潰すのに手こずるかもしれませんが、スケールの大きいモデルへの迷彩をするなら、断然オススメの手法だと思います。
 ただ、この手法に限らず、迷彩塗装をカッコ良く決めるための肝は、一番最初のパターンの決定作業にあるんですよね。このあたりのセンスは、私もまだまだ未熟なので、経験を積んで腕を上げて行こうと思います。

さて、このページの手法でとりあえず迷彩塗装は出来ましたが、パーツの面積が大きいことも手伝って、このままでは何となくオモチャっぽい感じがしますよね。そこで次ページにて、より本物らしく見せるための「ウェザリング」という技法をご紹介いたします。かなり手間のかかる作業になりますが、メチャクチャにカッコ良くなることは間違いありませんので(笑)是非ともご覧くださいませ。

     

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