その8

サーフェイサー基礎知識

Part1


いつのころからか、模型誌の記事などで頻繁に見られる
ようになった、サーフェイサーという言葉。渋川自身、
いつの間にか塗装の前には必ず吹き付けているのですが
果たしてこのサーフェイサーというシロモノ、いったい
どんな必要があって吹き付けているのでしょうか。塗装
の前に吹き付けることで、どんなメリットがあるのでし
ょう。ここでは、ごく普通の模型作りにおいて、私が実
際に取り入れている考え方と作業を解説いたします。 

1:耐水ペーパーをかけたパーツへの
サーフェイサー吹き

上のイラストは、600番以下の耐水ペーパーをかけたパーツの表面を、ざっと数十倍に拡大した状態をイメージしたものです。目が細かいとはいえ、耐水ペーパーもヤスリに変わりはありませんから、パーツ表面はこのように、無数の細かい溝が刻まれたような状態になっているわけです。では、ここにエアブラシによる吹き付け塗装を行なうとどうなるか、下のイラストをご覧いただきましょう。

エアブラシによる吹き付けをするためには、塗料の原液を最低でも2倍程度に薄めなければなりません。いわば、半透明の塗装皮膜を、2〜3度にわけて塗り重ねてしっかりした塗装面を作り上げるわけです。しかし、エアブラシ用に薄めてあるが故に、パーツ表面の細かい溝に塗料の皮膜がなじんでしまい、上のイラストのようにパーツ表面の溝が、くっきり浮かび上がってしまうのです(色や塗料の種類によっては、こうならない場合もありますが、ここではこの現象が起こりやすい、明るい色の場合を想定して解説を進めます)。

600番の耐水ペーパーによって刻まれた細かい溝を見えなくするには、より目の細かい800〜1000番の耐水ペーパーでパーツの表面を磨き上げて、上のイラストのようにパーツ表面の溝を、さらに細かくしてから塗装してやれば良いわけですが、ここまでの工程の中、パーツ表面のヒケや成型時の歪みを消すため、すでにほとんどのパーツの全面に、くまなくペーパーをかけています。ハッキリ言って、ペーパーがけという作業は楽しくないのです。この上、延々時間のかかるペーパーがけを行なうのは、出来ることなら避けたいのです。

そこで上のイラストのように、塗装の前にサーフェイサーを吹き付けて、パーツ表面をある程度なめらかにしてやろうというわけなのです。何故、塗料では埋まらない細かい溝が、サーフェイサーだと消えてくれるのか・・・なんとも頼り無いことに、上手く説明出来ないのですが(汗)ま、こーすると、こーなる、ということは間違いありませんので、そういうものだと思ってくださいませ。我ながら無責任な解説だなぁ・・・。

サーフェイサーが乾燥した上から、薄めた塗料を吹き付けました。細かい溝も見えなくなって、目出たし目出たしというわけです。私の場合は最近、グンゼ産業さんのMr.ベースホワイトをサーフェイサーとして使っていますから、真っ白い下地が出来るため、上から吹き付ける塗料の発色も鮮やかになります。さらに、直接プラスチックの表面に吹き付けるよりも、サーフェイサーで作った下地の方が、塗料の食い付きも良い(剥がれにくくなる)のです。


ここまでの解説で、塗装前にサーフェーサーを吹き付け
ている理由がおわかりいただけたと思いますが、上にも
書いたとおり、ペーパーがけの手間を惜しんで吹き付け
ているわけです。つまり、目の細かい耐水ペーパーでき
ちんと表面を磨いてやれば、わざわざサーフェイサーで
下地を作る必要はないということです。増して筆塗りに
よる塗装なら、塗料の濃度が違うため、下地を作らなく
てもなめらかな塗装面が得られますし、逆にサーフェイ
サーが溶け出して、塗料に混ざるという現象も発生しま
す。サーフェイサーによる下地作りというのは、必ずし
も必要だというものではなく、美しい塗装仕上げに到達
するための、いくつかの方法のひとつということです。
では次のページから、私が実際に使っているサーフェイ
サーの写真も交えて、少し具体的な話しをしてみます。

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